風邪ではなくてスギ花粉症

ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックでは、1月22日(金)から、わずかではありますがスギ花粉症患者さんが出現しています。

九州南部のスギ花粉飛散開始予測日は2月10日となっており、それからすると若干早めです。この数日に来院された方は皆さん「鼻水が出てノドが痛くて頭痛もします。どうも風邪引いたみたいです」という、一見すると感冒様症状を訴えておられます。

鼻の中を覗くと、粘膜が真赤に充血して腫れており、水鼻(水様性鼻汁)が多量にみられます。細菌感染症の所見とは異なっており、顔面レントゲンでは異常なく、副鼻腔炎はありません。

しかし、鼻水を採取して中に含まれる細胞を分析してみますと(鼻汁好酸球検査といいます)、好酸球というアレルギー性鼻炎に特徴的な細胞がウヨウヨしています。感冒(かぜ)など炎症疾患とは異なる所見です。

また、扁桃には異常なく、咽頭や喉頭(声を出す声帯が含まれる部分)にも強い炎症所見はありません。

そして血液検査でアレルギーの原因(抗原)を調べてみますと、みなさんスギに対する抗体価が有意に上昇しており、スギ花粉症という確定診断になりました。

このような「風邪ではなくてスギ花粉症」という病態は、スギ花粉飛散期の2月から4月に非常に多くみられるもので、「くしゃみ・はなみず・はなずまり」(アレルギー性鼻炎の3大症状)以外に「頭痛、ノドの痛み、せき、全身のダルさ」という症状もアレルギー性鼻炎に由来することを知っていれば、問診だけで容易に予測できます。

ただ、時期的にちょっと早いかな、と思ったりもします。
環境省花粉観測システム(はなこさん)もまだ今年は稼働しておりませんので気象情報と比較して考察しにくい状態です。

上記の患者さん方は、家のまわりに沢山スギ林がある、など環境要因もスギ花粉症を疑わせるものがあるのですが、それに加えて、2週間前の猛烈な寒波のあとから急に暖かくなったことも関係しているかもしれません。


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