頭痛(鼻つまりによる頭痛)
頭痛は私達が日常生活の中でよく経験するものですが、その原因のいくつかは耳鼻咽喉科の病気がかかわっている場合があります。
副鼻腔炎と頭痛
顔面の骨の中には副鼻腔と呼ばれる空洞があり鼻とつながっているます。副鼻腔に細菌が侵入して増殖すると、副鼻腔内の粘膜が腫れたり膿がたまったりします。これが副鼻腔炎であり以前は蓄膿症と呼ばれていました。副鼻腔炎になると三叉神経の刺激症状が発生して頬の痛みや額(ひたい)の痛みを感じるようになります。さらに三叉神経の関連痛で頭の全体的な疼痛や後頭部痛などが出ることもあります。
アレルギー性鼻炎と頭痛
アレルギーの原因であるアレルゲンが鼻粘膜に到達すると、アレルギー反応が起きて鼻粘膜が腫れてきます。鼻粘膜が腫れると鼻詰まりを感じるようになりますが、鼻とつながっている副鼻腔(骨の中の空洞)にも空気が入りにくくなります。これを副鼻腔の換気障害といいますが、換気障害で副鼻腔内が陰圧となることで頭痛が発生します。
アレルギー性鼻炎は近年増加傾向にありますが、アレルギー性鼻炎で頭痛を訴える患者さんも増えており、特に子供のアレルギー性鼻炎では、鼻症状ではなく頭痛が主な訴えである場合が多いです。
頭痛にかかわるその他の病気
上記2つの病気以外にも、耳鼻咽喉科領域で頭痛を引き起こす病気があります。その多くは鼻詰まりを起こすことで頭痛を発生させる病気ですが、なかには骨や脳に悪影響を及ぼす怖い病気もあります。鼻やノドのつなぎ目を上咽頭といいますが、ここに発生する癌を上咽頭癌といいます。上咽頭は口を開けただけでは見えない場所なので癌ができても最初は気付かない場合が多いですが、進行すると脳を支えている骨(頭蓋底)に入り込んで頭痛を起こすようになります。また副鼻腔のうち頬部にある上顎洞も癌ができやすい場所ですが、上顎癌が骨に入り込むと頭痛や頬部痛を起こします。
頭痛を起こす耳鼻咽喉科の病気
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
- 副鼻腔真菌症(カビ)
- 副鼻腔のう胞
- 鼻ポリープ(鼻茸)
- 鼻パピローマ(乳頭腫)
- 上顎癌
- 上咽頭癌
- 篩骨洞癌
- 睡眠時無呼吸症候群
頭痛の検査方法は?
耳鼻咽喉科における頭痛の診察は、まず鼻の粘膜をみて異常がないか確認することです。詳しく診察するためには電子内視鏡による観察が有効です。また副鼻腔炎の有無を調べる検査として単純レントゲン撮影がありますが、頭痛と関連が深い篩骨洞や蝶形洞など、骨の奥深くにある部位に関してはあまり有効ではありません。このような部位の異常を調べるためには、マルチスライスCTによる画像診断が有効です。当院では院内に全身型マルチスライスCT装置が完備してありますので、異常が疑われる場合はすぐにCT撮影を行うことが可能です。