急性中耳炎に対するレーザー鼓膜切開

以前のブログでご紹介していますが、ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックではレーザー鼓膜切開装置「OtoLAM」を導入しました。

OtoLAMが本格的に稼働するようになって1か月ほどたちますが、実際使用してわかった利点を述べてみます。

1.出血がない
通常の鼓膜切開は切開刀というメスで鼓膜を切るのですが、炎症を起こした鼓膜は切開することにより出血します。特に炎症が強いと出血が多く、顕微鏡下で処置を行う際に出血が邪魔をして、切開後の追加処置が不十分になってしまうケースがあります。
その点、OtoLAMは円状に鼓膜を切り抜くレーザー焼灼であり、切開部辺縁は組織変性が起こるため出血しません。中耳にたまった膿汁を吸引した後は、鼓膜から中耳内部まで中耳内視鏡にてしっかり観察することができ、十分な追加処置を行えます。

2.追加焼灼が容易
出血のない処置をおこなうことで、切開後も鼓膜を顕微鏡や内視鏡で詳細に観察できます。そのため、安全かつ確実な追加焼灼が可能です。
鼓膜切開の目的は「中耳にたまった膿汁を排泄するルートを作成する(ドレナージ手術)」ことであり、そのためには「十分大きな切開口がなるべく長く開大する」ことが必要です。
OtoLAMでは0.2mm刻みで開ける穴の大きさを設定できますが、たとえば0歳児の小さな耳では、1.4mmの穴を1発で開けるよりも、1.0mmの穴を3回照射してつなげる方が大きな切開口を作成できます。
もし出血していると、このように切開を繰り返す処置は困難なのですが、出血のないOtoLAMでは連続焼灼が極めて有効です。

3.中耳腔の観察が容易
メスで切開する場合、鼓膜に開く穴は線状になるので、奥の中耳を観察するのはなかなか難しいです。それに対してOtoLAMでは、円状に穴をあけるため、その穴を通して中耳を観察して粘膜の状態を調べることができます。
中耳観察の利点として、たとえば、「中耳炎の原因となる菌の中でインフルエンザ菌は感染性肉芽を発生させる特徴があるため、粘膜が腫れて肉芽を形成させている場合、インフルエンザ菌感染を推測しそれに対応した治療を行う」という新たな治療戦略が考えられます。
ただしそのためには「中耳内視鏡」の併用が必須です。
鼓膜切開の対象年齢は0歳から1歳児が大半を占めますが、耳の穴(外耳道)が狭いため顕微鏡下の処置では鼓膜切開は出来ても、その奥にある中耳を観察するのはなかなか難しいです。中耳内視鏡であれば切開部近くまでカメラを挿入することとなり、詳細な中耳粘膜観察と写真撮影まで行えます。
当院では開院当初から、鼓膜観察に中耳内視鏡を使用しており、OtoLAMを導入したことで中耳内視鏡の利用価値がさらに向上しました。
OtoLAMを適切に運用するためには、レーザー焼灼の出力設定、照射サイズ、照射回数の3要素を、鼓膜の炎症の程度と症例の年齢に合わせて調節することが非常に大切であると考えています。このことは既に各施設からも報告されており、OtoLAMに関する文献を調べることで運用法を学びました。

レーザー鼓膜切開装置を運用して1か月、30症例程度に使用しましたが、その順調な治療経過をみますと非常に有効な機器であることがわかりました。


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