鹿児島呼吸器フォーラム2011に出席しました
ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックでは、2011年4月から日本アレルギー学会認定専門医を取得して臨床アレルギー学の診療強化を行っています。
そこで当院では、アレルギー性鼻炎だけでなく、アレルギー科として気管支喘息の初期診断にもかかわっています。
また、最近ではマスコミでも広く取り上げられている慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関しても、呼吸機能検査(スパイロメーター)を取り揃えてその初期診断に取り組んでいます。
さらに、耳鼻咽喉科領域と呼吸器領域は気道として一つながりであり、その疾患も関連性が高いことから「One airway one disease」(直訳:一つの気道 一つの疾患)として、総合的に診断すべきであることが学会でも提唱されています。例えば「アレルギー性鼻炎の治療を行うことで、気管支喘息のコントロールが良くなる」。これは既に報告されている有名なデータです。
「One airway one disease」のコンセプトに基づいて総合的な診療を行うことで、より全身的な医療を行うことができます。そのために耳鼻咽喉科医・アレルギー科医として、呼吸器疾患の研修を行うことは非常に重要なことであると考えています。
ということで、杏林製薬株式会社の主催による鹿児島呼吸器フォーラム2011に出席して勉強してきました。
座長は鹿児島大学医学部呼吸器内科教授の井上博雅先生、講師は東京女子医科大学第一内科学主任教授の永井厚志先生で、「COPDと気管支喘息のオーバーラップ病態」というテーマでした。
重症のCOPDと気管支喘息では臨床所見が鑑別しにくい例があり、その病態はこれら2疾患が同時に関与しており、オーバーラップ症候群としてとらえるべきである、とのことでした。
非常にわかりやすい解説で、とても有意義な研修をさせていただきました。
因みに当院では、「3週間以上持続する咳」に代表される慢性咳嗽(せき)でお困りの患者さんも多く来院されます。アレルギー性鼻炎や鼻副鼻腔炎による後鼻漏(鼻水がのどに流れ込む)が原因となって咳が持続する例は非常に多く、これらの病態であれば耳鼻咽喉科学的な治療にて咳が改善します。しかし咳の原因としては、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など下気道疾患も当然ながら考慮すべきです。
当院の診療指針として、まず耳鼻咽喉科学的精査を行いつつ、疑わしければ胸部聴診などの理学所見、スパイロメーターによる呼吸機能検査等を行って、下気道疾患のスクリーニング(初期診断)を行います。
場合によっては院内CTにて胸部CT検査を行い、遠隔画像診断センター(ネットメディカルセンター)にて放射線科専門医のCT読影レポートを取得して下気道精査を行っています。
実際に気管支喘息やCOPDなど下気道疾患が見つかることも多く、必要な例では呼吸器専門の医療機関へ紹介を行って専門的診療を受けていただくようにしています。
ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックでは、耳鼻咽喉科のみならずアレルギー科として、より総合的な気道臨床学を目指したいと考えています。
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