インフルエンザ流行の兆し
2016年10月23日(日)は、ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックが南薩医師会の休日当番を務めました。最近朝晩が涼しくなったせいか、体調を崩した患者さんが多く来院されました。
その中でお一人、前日夕方から38度台の発熱があり来院された方がおられました。
咽頭リンパ節の腫れが非常に強く、鼻内所見では水様性鼻汁と鼻粘膜発赤が強く、ウイルス感染を疑わせる所見でした。
すぐにインフルエンザウイルス迅速診断装置「Immuno AG1」による院内ウイルス同定検査を施行しました。
インフルエンザウィルス迅速診断装置「Immuno AG1」
Immuno AG1は毎年、当院のインフルエンザウイルス診療で重要な役割を果たしている装置です。富士フイルムの写真現像技術を応用して、インフルエンザウイルスの検出率を飛躍的に高めるものであり、発症後わずか数時間で検査が可能となります。従来の検査キットですと「まだ熱発したばかりだから、今検査しても正確な診断ができません」という状況が多かったのですが、Immuno AG1導入以来、より早く、より正確な、ウイルス感染の早期診断ができるようになりました。
この患者さんの検査結果ですが、下記の通りです。
Immuno AG1の検査結果。
「A:+」と表示されているのは、インフルエンザウイルスA型の反応が陽性であるということであり、「B:*」というのは「A型の反応が強いため、B型の測定結果が出るのを待つ必要はありません」という意味です。
つまりこの検査結果は、「A型感染症の反応が非常に強く、A型ウイルスの量が多量である」ということになります。
今シーズンの南薩地域におけるインフルエンザウイルス感染症の報告は、10月に入り2例だけですが既に情報が入ってきていました。
当院では今シーズン初めてのウイルス検出例となりますが、この患者さんの局所所見、ウイルス診断検査結果などを踏まえますと、これから1-2週間の間で急速にウイルス感染が広まる危険性があります。
手洗いうがいの励行、人ごみでのマスク着用など、予防策をしっかり立てて対策をとるべきかと思われます。
当院では今シーズンも、Immuno AG1を用いたインフルエンザウイルス感染症の早期診断を目指していきます。
(参考ページ)
院長ブログ「Triple B」-「インフルエンザの高感度検査装置を導入」
当院公式ウェブサイト「院内の設備」-「インフルエンザウィルス分析装置」
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